生徒インタビュー 〜「私たちはジョブズ!」団結力の秘訣〜 江戸川女子高校
2018年度の『トゥワイス・アウォード全国大会』に出場した、江戸川女子高校の「木村半端ないって。」チームの木村美咲子さん、佐藤恵さん(仮名)、そして、「空飛ぶからあげレモン。」チームのラーゲリンオリビア瞳さん、森茉梨香さん。
1年前を振り返って、探究型学習プログラム『企業インターンワーク』に取り組んだ当時の様子や、体験をとおして学んだことを聞きました。
Q.みなさんが活動していたチームの名前とその由来、インターン先の企業を教えてください。
木村さん:
私たちのチーム名は、「木村半端ないって。」でした。当時、「大迫半端ないって」が流行ってたのが名前の由来です。
企業は大塚製薬でした。
ラーゲリンさん:
私たちは、「空飛ぶからあげレモン。」というチーム名でした。
由来は、からあげが好きなメンバーがいて、からあげと言えばレモン、インターン企業が日本航空だったので、「からあげが空飛ぶといいんじゃない?」という感じでつけました(笑)。
“軽い気持ち”からはじめた、インターン体験
Q.どんな気持ちで取り組んでいましたか?
佐藤さん:
うちのチームは、最初から最後までみんなやる気がありました。
ワークのはじめにやったチームの自己紹介でも、それぞれネタをいっぱい入れたりして(笑)。
木村さん
「優勝したらポカリスエットとか何か商品がもらえるんじゃないか?」と思ってました(笑)。
本当にそんなことばっかり考えて、「絶対優勝!」とチーム全員が思っていて、最初からやる気がありましたね。
ラーゲリンさん:
みんな普通にやる気はあったんですけど、全国大会に行くつもりは全くなくて、ゆるーくやっていこうと思っていました。でも、みんなに楽しんでもらえるような発表ができるといいなとは思ってましたね。
森さん:
うん、「授業だからちゃんとやろう」くらいの気持ちでした。
Q.その後、モチベーションが変化したタイミングはありましたか?
木村さん:
私は、同じクラスの他のチームの発表を見て刺激を受けました。
「こんなやり方もあるんだ!」という発見があって、自分たちも、どうするともっとみんなが注目してくれるのかを考えるようになっていきました。
そして、興味を持ってもらうためのネタを考えたり、スライドを工夫したりして、回数を重ねるごとにどんどん変わっていきました。
「コメントシート」というのがあって、他のチームのみんなから発表に対するフィードバックをもらえるんですが、それも細かく全部読んで改善につなげました。
具体的には、「パワポの文字が小さい」という意見をたくさんもらっていたり・・
森さん:
私たちは、2回目のプレゼンのリハーサルが終わったあと、先生に感想を聞きに行ったら「全国大会出ない?」と言われて。それがきっかけで気持ちが切り変わりました。
それまでは、全国大会出たいなんて、そんなに思ってなかったんですけど、「ここがよかった」など、先生にベタ褒めされて、気持ちが爆上がりして、だんだん調子に乗るようになりました(笑)。そこから全国大会本番まで、朝集まって練習するほど本気で準備しましたね。
みんなの個性を生かして役割分担
Q.チームワークについて工夫したことはありますか?
森さん:
「指令1(企業から与えられる最初の課題)」のプレゼンをやった後、「自分はやっぱりこれをやった方がいいかもしれない」と、それぞれに得意なことが見えてきたので、その後の「指令2(企業から与えられる本格的な課題)」では役割分担を変えました。
ラーゲリンさん:
私たちは、もともと仲がよくて、お互いの得意なこともよく知っていたので、スムーズに役割分担できていました。
例えば森さんはことば遣いがすごくうまいので、台本を任せたらすごいのができあがって。あとはパワポをつくるのが得意な子もいたり、アイディア出しとかCMづくりは私がやったり、というふうに。
でも、「指令1」のときはそんなによくなくて、クラスのトップ3にも入らなかったんです。私たちが見ても「おもしろくないな」って思ってました。
森さん:
「ビジネス感強い」ってみんなから言われてましたね(笑)。
木村さん:
メンバーひとりひとりの得意なことを見つけて、うまく力を出せるようにしました。
例えば私は、台本やパワポは全然つくれないので、”ネタづくり担当”になりました。
佐藤さんは、台本づくりがプロなので(笑)任せて、その他にもパワポつくるのが得意な子、発表のときに「かわいい子」など、いろんな役割がありました。
私たちは、抽選でメンバーが集まったチームだったので、はじめはお互いの得意なこともよくわからなかったんですが、活動を進めるうちにそれぞれの得意なことが見えてきて、徐々にうまく分担できるようになっていきました。
佐藤さん:
分担については話し合って決めたというより、それぞれの得意なことに応じて、自然と役割が分担されていった感じでしたね。
Q.チームの印象的なエピソードがあれば教えてください。
木村さん:
私はリーダーだったんですが、プレゼンの準備中に、「これは時間がない。間に合わない」と思ったことがあって、そのときに、「やばいよ!」とメンバーを急かしてしまい、ちょっと気まずい雰囲気になったことがありました。
佐藤さん:
でも、私たちメンバーとしては、そうやってリーダーが言ってくれたから、みんなで協力してしっかり準備できるようになりました。
木村さん:
私は、もともとみんなで楽しくやれることを大切に活動してきたので、言ってしまったあと、すごく後悔したんです・・・。そのときは他のチームの子に廊下のベンチのところでずっと話を聞いてもらったりしてました。
みんなに嫌われちゃったんじゃないかって思って・・でも戻ってきてくれて・・
佐藤さん:
なんか、ごめんね。
木村さん:
(佐藤さんの肩に手をかけながら)いやいやこちらこそ・・
ラーゲリンさんと森さん:
感動!!ドラマドラマ!!(笑)
同じことはしたくない!毎回新しいことに挑戦
Q.プレゼンで工夫したことはありますか?
木村さん:
リハーサル、クラスでのプレゼン、学年全体でのプレゼン、全国大会と、発表する機会が多かったのですが、毎回同じことをしたくなかったので、新しい要素を入れるようにしていました。
例えば、リハーサルのときは、石焼き芋の音楽に合わせて登場したんですけど、本番では、“TT兄弟”をもじった“OO姉妹”で登場したり、全国大会では自分たちでつくったCMに合わせて踊ったりしました。
ラーゲリンさん:
私たちは、「人を惹きつけるプレゼン」を強く意識しました。
そのためにTEDとかスティーブ・ジョブズのプレゼンを研究して、徹底的に練習しました。
森さん:
プレゼン中にどう歩くと“余裕”があるように見えるかとか、細かいところまで研究しました。
「なんでも自由にやらせてくれたから個性を出せた」
Q. 授業中の先生の様子も教えてください。
ラーゲリンさん:
授業内で「あれやれこれやれ」とかがなくて、自由な雰囲気があって、私たちの個性を引き出してくれていました。
決まりもあんまりなくて、自分たちで考える場を与えてくれたので、自由にアイディアが出せて、高校生らしさも出たかなと思います。
大人の人がアドバイスをしすぎてしまうと、その枠の中でしかできなくなっちゃうと思うので・・
森さん:
本当に!この授業だけそういうのができました。
ラーゲリンさん:
あと、トゥワイス・アウォードにエントリーするためのエントリーシートを私たちの知らないところですごいたくさん書いてくれていたらしくて、そのことを知ったときに、「そんなに書いてくれてたんだ」と思って、なんか、見えないところで生徒想いなんだなって思いました(笑)。
佐藤さん:
私たちのクラスの先生は、優しく見守ってくれてる感じでしたね。
ラーゲリンさん:
情報科の先生ってみんなそんな感じだよね。
木村さん:
私たちのクラスも、全然「あれやれこれやれ」っていうのがなくて、パソコンの操作がわからないときはすぐに助けてくれたけど、それ以外は自分たちがやりたいようにやらせてもらえて、その環境がすごくよかったなと思いました。
あれこれ制限があったら、こんな踊りなんて絶対できなかったですね(笑)。
将来につながる自信と発見
Q. このときの体験が今の自分に役立っていると思うことはありますか?
木村さん:
私はAO入試で合格したんですが、もともとずっと一般入試で受験するつもりだったんです。
でも、今回こういうことを経験して自信がついたので、AO入試で受けてみようかなと思い、実際に受かることができました。
もともと自分に自信がなくて、人前に出ることを避けてきたんですけど、この体験がきっかけで人前で話すことに本当に自信がついて、今年の文化祭では歌や漫才にも挑戦しました(笑)。
ラーゲリンさん:
全国大会に出て、本当にたくさんの人が発表を見てくれたり、大人の人が評価してくれたり、「私の発表がこんなにたくさんの人に聞いてもらえるんだ」と思ったときにプレゼンすることの楽しさをすごく感じて、社会に出てからも、プレゼン力やその他の学んだこと全部を生かしていきたいなと思いました。
あと、トゥワイス・アウォードで準グランプリを取ったことですごく自分に自信がついて、AO入試の活動の記録欄に、“トゥワイス・アウォード準グランプリ”と書けるだけで、「これは受かったわ」と思いました。
面接でも自信満々にそういうことを言えたりして、将来情報系の道に進もうと思っていたので、「今回やったことはかなり強みになるんじゃない?」と確信が持てました。
佐藤さん:
大塚製薬の商品開発をやってみたことで、マーケティングに興味を持ったんです。
なので、マーケティングが学べる大学を選びました。自分の興味分野を見つけることができたのはとても大きかったです。
森さん:
私は発表原稿を担当して、キャッチフレーズをたくさんつくったんですけど、トゥワイス・アウォードで発表したときに、日本航空の方やトゥワイス・プランの方にキャッチフレーズのことを褒めてもらったのがきっかけで、将来広報関係の仕事に進みたいと思うようになりました。
「私たちはジョブズ!」気持ちを大事にすることが大切
Q. 今年のトゥワイス・アウォード全国大会の出場者に向けて応援コメントをお願いします。Q.将来について考えていること、これから学んでみたいことはありますか?
ラーゲリンさん:
やっぱり「伝えたい」っていう想いが一番大事だと思うので、例えばプレゼンとか台本とかちょっと自信ないんだよなって思ったとしても、気持ちで押し切るのがいいと思います。
とにかくハートが大事。気持ちがあればチームの団結力も増すと思うので。
みんなの気持ちを一緒にできるように、「みんなでグランプリ取りたいね」っていう気持ちを持ってたり、「ここを伝えたいね」とか「スティーブ・ジョブズみたいにやりたいね」みたいな、そういう気持ちを大事にするのがいいと思います。
(森さんに)「私たちはジョブズ!」って思うようにしてたよね。
森さん:
たしかに。何かと「ジョブズ」って言ってたよね(笑)。
森さん:
発表が全部終わったときに「全部楽しかった」って思えて、今まで人前で話すことはあんまりなかったんですけど、このことでプレゼンが好きになったり。
緊張しても終わったらそういう楽しさがあるので、あんまり背負いすぎずに、楽しんでやってほしいなと思います。
佐藤さん:
『企業インターンワーク』はチームでの活動なので、一人じゃできないことでも何人か集まればできるんですよね。
なので、チームで目標を決めてそれに向かってがんばってほしいなと思います。
木村さん:
私自身もこの経験が受験につながったし、今日他の3人の話を聞いても、この取り組みがすごく糧になってるなと思うので、トゥワイス・アウォードに出場することはすごくいい機会だと思います。
最後に「楽しかった」って思えるので、今大変かもしれないけど、とにかく全力でやったらいい形で終わると思うので、楽しんでがんばってほしいです。
『トゥワイス・アウォード全国大会』で成果をあげた2つのチームに共通していたのは、チーム全員で楽しみながら、とことん納得いくまでやり切っていたことでした。
たくさんの工夫や学び、チームメンバーとの信頼を積み重ね、本気で取り組んで得た大きな自信で、ひとりひとりが輝いていました。
みなさん、ありがとうございました。