生徒インタビュー 〜“自分自身の課題解決”を探究したインターン体験~八千代松陰高校

探究学習プログラム『トゥワイス・プラン』に2年間取り組み、全国大会出場の実績を生かして今年推薦入試で東北大学工学部への進学が決まった、八千代松陰高校3年の矢野智士君(写真右から2番目)。

1年生からの活動を振り返り、体験をとおして学んだことや、その体験をどのように推薦入試に生かしたのかについてインタビューしました。

矢野くんは、高校1年生のときに、「企業」をテーマに実社会の課題解決をする『企業インターンワーク』を、2年生では、「地域社会」をテーマに地元企業の課題解決をする『地元企業インターンワーク』を体験。

『企業インターンワーク』では、『トゥワイス・アウォード全国大会』に出場し、企業審査員や他校生の前でのプレゼンを経験しました。

手探りのチームビルディング

Q.はじめに自己紹介をお願いします。

八千代松陰高校3年の矢野です。

八千代松陰高校に入学した1年生のときに、『企業インターンワーク』で朝日新聞社のインターンを体験し、2年生では『地元企業インターンワーク』で近畿日本ツーリスト首都圏のインターンとして活動しました。

Q.どんなチーム名で活動していましたか?

高校1年当時4人の班だったんですが、メンバーのイニシャルを並べて付けた「YURIMASA」というチーム名でした。

というのも、チームの組み方が、入学したばかりで、まだあまり知り合いがいない状況であるにも関わらず、「他クラスの人とチームを組む」というやり方だったんです。

最初は「はじめまして」と自己紹介するところからはじまったんですが、なかなかチーム名を決められなくて。結果としてイニシャルを並べたチーム名になりました(笑)。

ー最初はいろいろと手探りでのスタートだったんですね

そうですね。
『企業インターンワーク』も、「ああ、何かはじまったなあ」くらいにしか思っていなかったし、自分自身もプレゼンで話したり、スライド作成もあまり得意じゃなかったので、そこまで一生懸命やっていたわけではなかったんです。

Q.ワークに取り組む過程で、活動への向き合い方に変化はありましたか?

そうですね。
チームで活動しているうちに、自分なりの「アイディアの出し方」や「聞き手が楽しい表現方法」を見つけることができるようになっていった。そうしたら、自信もついてきて、どんどん前のめりになっていきました。

企業に提案する企画づくりを何度もやっていくと「こうやるとうまくいくな」ということがわかるようになったり、苦手意識のあったプレゼンも、話すスピードを変えたり、相手の反応を見ながら対応していくことを何度も試して、徐々にうまくなっていったかなと思います。

それと同時に、チームで話し合いをすることも回数を重ねるうちにだんだんとおもしろくなっていきました。

最初はお互いに遠慮して意見が出なかったり、いい意見が1つ出ると、みんなで「それにしよう」とすぐに決めてしまって、他の意見が出なかったりすることもありました。

そんなときに、先生から「いいもわるいも関係なしに、とにかく意見を出してみたら?」と言われたのがきっかけで、全員が意見を出して話し合うことが増えました。

そして、「指令2」(ワーク内で企業から提示される2つめの課題)のプレゼンの中間発表のときになって、「他のチームと比べても自分たちの企画やプレゼンは結構いい」ということに気づき、「わりと自分たち、イケてるんじゃね?!」と思えてからは、ますますモチベーションが上がっていきましたね。

対話を重ね、“全員が力を発揮できるチームへ

Q.高校2年のときも同様にクラス横断のチームでスタートしましたが、その時はどうでしたか?

一度みんなが同じことをやっているし、高2は最初のチームづくりからうまくできたと思います。

ただ、高校2年生の9月からワークがはじまったので、部活動などが忙しくて、人によってはそこまでコミットできないということもありましたね。

Q.全員が同じモチベーションで取り組めるように、何か工夫したことはありますか?

いえ、「モチベーションを変えるのは難しいだろう」と思ったので、無理に参加させようとはしませんでした。
僕自身もバスケ部で、部活が大切なこともがんばっていることもわかっていたので。

なので、「授業中には意見をまとめる」「お昼休みにご飯食べながら続きを話し合う」「準備は量を分担する」など、その時間帯で何をするのかという目標を決めて進めるように工夫していました。

自分はチームリーダーではなかったんですが、まとめるのは好きで、みんなの意見をまとめる役割をしました。

小さいころから、両親に「代表やリーダー、取りまとめをする役割は積極的にやりなさい」と言われてきたので、自然と昔からまとめ役をやることは多かったですね。
また、中学のときは学級委員のトップもやっていたし、体育祭の団長もやっていたというのもあります。

Q.中学のときに経験したリーダーと、今回のワークで経験したリーダーで、何か違いはありましたか?

中学の部活や委員会では、「結論やまとめを自分がやって、それをみんなに納得してもらう」というやり方だったんですが、今回のグループワークでのリーダーは、「結論を出す前に全員が意見を出して納得できるようにする」というやり方が大事だということに気づきました。

「話し合いの過程に参加している」とメンバー全員が思えることで、チーム全体のモチベーションが高まって、結果的によいアイディアやプレゼンにつながっていたなと感じます。

ただ、今思うと、まとめているようでいて、自分の意見に持っていこうとしてしまっているところもあったかなと思いますが・・

やっている自分たちでも手ごたえはあったし、先生からも「このグループはよく話し合っていていいね」と言ってもらっていました。

そんなときに先生から全国大会の話を聞いて、「全国大会目指してがんばろう!」と、さらにがんばれるようになっていきました。

ただその肝心の(全国大会にエントリーするチームを決める)クラス発表のときに僕が学校を休んでしまい、結果もクラスで2位だったんです・・。

みんなで「ああ、ダメだったねえ」と話していたのですが、クラスの中で2位までがエントリーできて、しかも一次審査の結果、僕たちが全国大会に出場できることがわかり、そこからまたチームに火がつきました。

最後までチームみんなでがんばりきれたのは、とてもうれしかったです。

“全員が力を発揮できる環境をつくる”ことが、リーダーのとても重要な役割だということに気づくことができたのも大きな収穫でした。

全国大会に参加して広がった世界

Q.『トゥワイス・アウォード全国大会』に出場して、感じたことや気づいたこと、考えたことを教えてください。

全国大会では発表の順番が1・2チーム目だったので、あまり他校のチームを気にせず堂々と話すことができました。

ただ、自分たちの番が終わって他のチームのプレゼンを見ていると、自分たちは(朝日新聞社の“指令”にあった)“新メディア”の中身についてはよく考えられていたと思うけど、“誰として、どんな人に届けるのか”ということをあまり考えられていなかったことに気づきました。

指令に取り組むときに、もっと“朝日新聞社のインターン”としての目線で考えることが必要だったなと思いました。

全国大会ではどのチームのプレゼンも見ていて楽しかったですし、いろんな人のプレゼンを見ると、自分も経験してきた分「このチーム、すごく練習してきたんだろうな」ということがわかって、それがとても刺激になりました。

そのときの全国大会では、同じ朝日新聞社のインターンチームが『企業インターンワーク』全体のグランプリにもなったので、そのチームのことはとてもよく覚えています。

そのグランプリを受賞したチームは、キャッチーな言葉の選び方やデザインなど、多くのこだわりがあって、「ああ、そういうやり方もあるんだ」と、新たな発見がたくさんありました。

Q.ワークや全国大会での体験が、その後役に立っていると思うことはありますか?

僕は推薦入試で東北大学を受験したので、部活以外でも、書類を提出するときや面接のときに今回の経験や実績を伝えられたことがとてもよかったです。

「全国大会に行って、企業の人の前でプレゼンした」という経験はとてもインパクトのあることだったようで、「そんなこともやっているんですね」と、面接官からも高く評価してもらいました。

あと、このワークでは、グループワークやプレゼンで、いろんな人と話し合ったり、発表する機会が何度もあったので、「自分自身の考えや伝え方」で、自信を持って面接に臨むことができました。

Q.今、何か興味を持って取り組んでいることはありますか?

今は時間があるので、プログラミングの勉強をしています。

将来的には海外で働くのもおもしろそうだなと思っているんですが、英語以外でも通じるスキルとして、ITスキルも身につけられるといいかなと思っています。

今の時代、小学生でもプログラミングをやっているので、僕も触れておこうかなと思ってはじめました。

Q.大学ではどのように学びたいですか?

もともとは、自分自身のけがをした経験から、「介護ロボット」に興味があったので、その研究をしたいと思っていました。

入試の面接でもそのように話したんですが、その後調べていくうちに、興味を持っていた分野以外のことをあまり知らないということに気づいたんです。

なので、今はやることを決め切ることはせず、いろいろな知識を得て視野を広げて、「自分が本当にやりたいこと」を見つけて研究していきたいと思っています。

最近は「そもそも再生医療が発達すれば介護を必要としなくなるのでは?」ということを考えています。

<右上:八千代松陰高校 矢野智士君/左上:TWICE PLAN 大学生インターン 涌井陽君/下:TWICE PLAN 冨ヶ原>

自分自身やチームメイトの状況をよく考察し、自分たちに合ったよりよい解決方法を探究し続けてきた矢野君。

試行錯誤を重ね、常に考え続ける矢野くんのことばは力強く前向きで、“自分自身の視点で探究する”ことの価値をあらためて実感するインタビューとなりました。
矢野君、ありがとうございました!