生徒インタビュー 〜城北埼玉高校

2017年度と2018年度の『トゥワイス・アウォード全国大会』に連続出場した、城北埼玉高校の小堀 翼君(写真左)と弓削多 貴一君(写真右)。ワーク終了後約1年ぶりに会って、当時のことやその後についてお話を聞きました。

二人は、2017年に、企業の”インターン”を体験する『企業インターンワーク』、2018年に、世界で起きていることの”調査レポート”を作成する『グローバルリサーチワーク』に、それぞれ取り組みました。

取り組みはじめの期待と不安

Q.まずは自己紹介をお願いします。

小堀君:
城北埼玉高校2年の小堀です。
中学3年生のとき『企業インターンワーク』でKDDIのインターンを体験しました。
昨年は、『グローバルリサーチワーク』で“平和”をテーマにプレゼンしました。

弓削多君:
同じく2年の弓削多です。
小堀君とは同じクラスですが、2年前の『企業インターンワーク』では別のチームで、ローソンの指令に取り組んでいました。

Q.どんなチーム名で活動していましたか?

小堀君:
今となってはちょっと恥ずかしいんですけど(笑) 「ナイトメアこぼり」というチーム名でした。

弓削多君:
僕も、最初なのでインパクトあるやつにしようと「恐怖を感じるアドラー」とつけました (笑)。
僕が心理学系の書評などをやってたので、そこからつくりました。

『グローバルリサーチワーク』では、クラスでの活動がメインだったので、クラス名「城北埼玉高校1年D組」をチーム名にしました。

Q.取り組みがはじまった時はどう思いましたか?

小堀君:
「課題解決型」というのは一度もやったことがないし、今までのように決まった答えがあるものじゃないので、最初は不安でした。

弓削多君:
僕は、「得意分野が来たな」と思いました(笑)。
中1から委員会などで取りまとめをやっていたので、そういう経験を活かせるなと思いました。

小堀君:
その後は、やっていくうちに、「やらなきゃいけない!」という気持ちが勝ってきて、不安の半分くらいはなくなっていったんですけど、次々に新しい不安もやってきて、「プレゼンうまくいくかな」「本番(トゥワイス・アウォード全国大会)でちゃんと発表できるかな」という不安が、当日までずっと残っていました。

弓削多君:
僕もその緊張はありましたね。
やっぱり「ひとりでやること」と「みんなでやること」は全然違うので、「みんなでどううまくやれるのかな」という不安は抱えていました。

ワークを担当された鈴木啓介先生と。

Q.先生方はどのように関わっていましたか?

弓削多君:
ほぼ、ノータッチでした(笑)。

小堀君:
そもそも、この取り組みで目指していたことが「生徒主体でやること」なので、先生は、後ろからサポートしてくれていましたね。

例えばスケジュールも、「いつまでにここまでやってね」ではなくて、「どうやって進めるか考えてね」と言って、学校行事だけが記入されている空白のスケジュールを渡してくれたり。

弓削多君:
「プロジェクター使ってみたい」というように、困ったときに相談すると、もちろん答えてはくれるんですけど、内容にはノータッチで。
僕らが進めているのを見守っているという感じだったので、任されたからにはやらないとっていう焦りも責任も感じました。

そして、普段からクラスをまとめている先生って大変なんだなというのにも気づきました。

Q.先生との関わり方がその後変わったということはありましたか?

弓削多君:
変な言い方ですけど「先生を使う」ようになりましたね。
僕らがやりたくてもできないことが、先生にはできたりするんです。

例えば、大人へのアンケートも、街頭に出ることはできるけど、いちばん身近な大人である先生に協力してもらう。
「文化祭で何かしたい」ということになったら、そのために必要な情報や物を得るために先生に相談する。そういうことを積極的にするようになりました。

小堀君:
いい意味で大人を利用していこう、という(笑)。

~「トゥワイス・アウォード全国大会」当日について~

Q.昨年度の全国大会受賞後のインタビューで「弓削多君が一人で抱え込んでいたことで言い争いになって、自分たちの(テーマである)“平和”について考えさせられた」というコメントが印象的でした。その時のことを教えてもらえますか?

弓削多君:
前年に取り組んだ『企業インターンワーク』はチームでのプレゼンでしたが、『グローバルリサーチワーク』はクラスでの活動もあったので、最後に意見をまとめあげるのが大変でした。

バラバラな意見をうまく組み合わせて満場一致のいいプレゼンにできるのか、というのはかなり悩みました。
今思うと、僕の主張が強すぎたなと。
少し妥協するところがあっても、みんながいいと思うポイントを探すことが大事だったんですよね。

小堀君:
(トゥワイス・アウォード全国大会の)1カ月前くらいから「なんか仕事ため込みすぎだな」と思っていました。
「これやってね」と頼んでくるんじゃなくて、「これ自分がやってくるね」と言うようになっていて。

「みんなでやるのに」と思ったんですが、持ち帰ってしまうんです。そして彼がつくってきた資料に、クラスメイトから少しダメ出しがあったりすると落ち込んでしまっていたこともありました。

「自分にはできないことかもしれないけど、頼ってほしいな」と思っていました。

弓削多君:
それが、すごく難しかったです(笑)。
こういうのって、自分の経験や直感に従って進める方が楽なんですよね。意見を言われても、「(自分は)この方がいいと思うのに」と対立してしまうこともあるし。

最終的には、僕がつくった型を、小堀含めたメンバーが放課後から夜までLINEを使いながら練ってくれて・・・。その時本当に頼りになるなあと思いました。

小堀君:
彼が持っている仕事を全部奪い取るような感じで引き取りました(笑)。
そこからは、つくったスライドを全て印刷して、一枚一枚全員で見て修正を書き込んで、それをまたスライドに反映させていきました。

弓削多君:
僕は、これまでも抱え込む傾向はあったんですけど、今まではひとりでやりきれていたので、はじめての経験でした。

小堀君:
今までの活動の中でもいちばん大きいものだったからね。

Q.『トゥワイス・アウォード全国大会』で印象に残った他校のチームはありますか?

小堀君:
『企業インターンワーク』でグランプリになった桐光学園の「Unknown」チームです。
ジェスチャーだけではなくて、例えば畳(ゴザ)を持ってきて実演するとか、いろんな工夫があるんだなと思いました。
「Unknown」チームのプレゼンテーション ダイジェスト

弓削多君:
語りかけるような話し方もすごい引き付けられたよね。
あと、他のチームのプレゼンを見て、スライドがメインじゃないんだというのもわかりました。

ついそうなりがちなんですけど、重要なのは何を伝えるかなんだなと。スライドづくりに力を入れすぎていたことに、あとから気づきました。

小堀君:
自分たちは、かしこまったプレゼンしか頭になかったので、2年目に参加する時は、もっとプレゼンのやり方も工夫しようと思って臨みました。

~トゥワイス・プランを経験して得たもの~

Q.弓削多君は、その後も学外の活動に積極的に参加しているようですが、トゥワイス・プランのワークを経験してから大切にしていることはありますか?

弓削多君:
「人を信じること」です。
人前に出てやることが増えたからこそ、周りを信じられなくなっていた。今は吹っ切れたんですけど。
自分ひとりでしか解決できないと思っていた僕に、「みんなでやろう」と声をかけてくれたメンバーのおかげで、人を信じることができるようになりました。

「課題解決の力」が必要と言われるけど、抽象的で、言葉でしかわからなくて、経験したことがないことだったので、「何をどうすればいいんだ?」とずっと思っていました。
そのひとつのやり方として、周囲と協力することの大切さも実感を持って学べました。

小堀君:
例えばSDGsというのも、話を聞いているだけでは受け身でよくわからなかったですけど、自分たちでリサーチをして考えて、という過程を経て能動的になっていきました。

最初から能動的だったのか、と言われるとそうではなくて、はじめは少し嫌々でした。
そこから少しずつ変わっていって、いちばんの影響は、『トゥワイス・アウォード全国大会』で他校のプレゼンを見たことです。1年目のとき、特に意識が変わりました。
「同じ中高生がここまでできるんだから、自分たちにもできるだろう」と思ったのが大きなきっかけでした。

弓削多君:
一度外に出て、上を見た経験があったので、その後もいろんなものに参加しやすくなりましたね。

Q.授業などに活かせたことはありますか?

小堀君:
情報科や社会の授業でプレゼンやディスカッションをするときに、自分たちで工夫してやってきたことを、スキルとして活かせるようになりました。

弓削多君:
ディスカッションで、あんまり人の目を気にせず意見を言えるようになりましたね。「受け入れてくれるだろう」と思えるようになったというか。

Q.トゥワイス・プランをとおして学んだことをおしえてください。

小堀君:
「自分のちっぽけさ」を知れたことですね。
そして、やるだけ成果が出るんだとわかったことがいちばん大きいです。

弓削多君:
「チームを信じる」ということです。
とりあえず任せてみて、うまくいかなかったとしても、何度もやっていけば、気づかないうちに成長していくことができるんだと思います。

Q.将来について考えていること、これから学んでみたいことはありますか?

小堀君:
僕はAIについて学びたいです。
人工知能を使って、『グローバルリサーチワーク』で知った世界の貧困を解決したい。テクノロジー面で世界を向上させられると思ったので、そういうことに携わりたいです。

弓削多君:
もともとものをつくることが好きなので、人を楽しませるアトラクションなど、つくったものをとおして幸せな気持ちを届けられたらいいなと思います。

僕は小さい頃はテレビっ子で、“ワクワクさん”が大好きだったんです。その頃から、遊び道具も「本来とは違う使い方で何か新しいことができないかな」と考えながら遊んでいました。
これからも「新しいものの見方」をたくさん見つけて、その力を将来につなげていきたいです。

Q.最後に、今トゥワイス・プランの探究型学習プログラムに取り組んでいる、またはこれから取り組む生徒に対して、先輩として伝えることはありますか?

小堀君:
「課題解決」は答えがなくて難しいと感じるかもしれないけど、だからこそ自分たちの自由な発想や豊かな想像力、培ってきた技術を含めて、今の自分にできる最高のプレゼンをしてください。
それがグランプリに輝かなかったとしても、がんばったことは全部自分に返ってくると思うので、ぜひがんばってください!

弓削多君:
僕はリーダーをやっていたので、そういう人に向けて伝えます。
意見がまとまらなくてつまづくこともあると思うけど、周りの人は思ったよりも自分のことをリーダーだと思ってくれているんです。その信頼に応えて、自分もメンバーのことを信頼する。それがまず大事だと思います。

だから心配になっても、とりあえず話しかけてみる、とりあえず聞いてみる、外に自分の想いを表現して共有していくと、うまくいきやすいんじゃないかなと思います。がんばってください!

自分、そして仲間としっかりと向き合うことで得たたくさんの成果と、自身の成長への手応えが伝わる貴重なインタビューとなりました。

弓削多君、小堀君、ありがとうございました。