先生インタビュー 〜岩倉高校 岡本裕之先生
今回インタビューさせていただいたのは、東京・上野にある岩倉高校の岡本裕之先生です。岩倉高校では、『人間ドキュメンタリー』『企業インターン』『学校フリーペーパー』『論文』の4ワークを実施しています。
Q.トゥワイス・プランに取り組むきっかけは何でしたか?
岩倉高校は今年でワーク実施2年目になります。
トゥワイス・プランを検討しはじめた頃は、学科の編成が変わったり男女共学になったりと、創立120周年を前に、学校が変化しようとしている時期でした。
その変革の一環として、生徒たちが自分の道を選択する手助けをできるような取り組みを模索していました。
いろいろなものを研究した結果、トゥワイス・プランにはそのヒントがあると思い、活用することに決めました。
トゥワイス・プランは取り組みの流れがはっきりしていて、ゴールが明確です。
学校にはそれぞれにカラーがあり、生徒の嗜好があり、先生のレベルも違います。
厳密に型が決まっていて、そこにはめ込んでいくようなものだとあまり成果が出ないと思うのですが、トゥワイス・プランのように大きなフレームが決まっていて、でも柔軟性もあるものが、効果的だと思います。
特に岩倉高校のように学科が分かれている高校にとっては、それぞれに合わせてアレンジすることができるのはありがたいです。
Q. 授業を行う上でどんな工夫をされていますか?
バランスを取ることを意識しています。多くの先生方は、普段は「この日に教科書の何ページまで進めよう」と頭の中でスケジュールをつくっています。
しかし、こういった取り組みでは何が起こるかわかりません。だから、発表の様子を見ながらスケジュールを調整していくことも必要になります。
社会では決められた日までに発表するのが大事なのかもしれませんが、同時に、生徒たちがあっちに行ったり、こっちに行ったりする経験をさせるために、進捗を見ながらバランスを取ることを大切にしています。
また、普段の授業ではマルバツをすぐに言いますが、この取り組みにはそういった決まった答えがないので、 「おもしろいね」とか「笑える」とか、そういった感想を伝えるようにしています。
Q. どのような効果がありましたか?
発表を繰り返していくと、生徒たちは徐々にプレゼンがうまくなっていき、開花する生徒もたくさんいます。
特に岩倉高校では最大で3つのワークに取り組むことになるので、そのクラスの生徒は大きく成長します。
堂々とする、わかりやすく話すようになるだけではありません。
「最終的に何を伝えたいのか」を考えられるようになり、「こうやって伝えよう」という工夫ができるようになります。
「最初にこの映像を見てください」「これについて、みなさんどう思いますか?」。
そうやってプレゼンをはじめて、中盤で展開し、後半でまとめていく。
しかも、プレゼンの見本があってそれに合わせるのではなく、生徒たちらしいものをチームごとに考えています。そこがおもしろく、興味深いと思います。
Q. これからの学校に必要なことは何だと思いますか?
トゥワイス・プランに取り組んでいると、プレゼンの機会が必ずあります。
ある生徒、たとえばA君は、普段から静かだなと思っていたのですが、発表となると率先して「B君はリーダーだから最初にしゃべって」「C君は真ん中でデータを読むのがいいかな」と役割分担をしている姿を目にしました。
そういう姿を見ると、生徒たちはみんな、自分の役割を求めているんだなと思います。
かつての世代のように個の力が強く、物事を変えていく人たちとは違って、今の子どもたちは協力して進めるのがうまいと思います。
普段の生活の中で、協力して何かを実現しようとすることで、「前と変わったな」「自分にはこんなことができるんだ」という自分の変化に気付けるようなシーンを、もっとたくさんつくってあげるのが大切だと思います。
岩倉高校で30年間生徒たちを見守ってこられた岡本先生。
生徒の未来、そして学校の発展を思って、いつも長い目で見て学校教育のあり方を考えていらっしゃいます。
岡本先生、インタビューをさせていただきありがとうございました。